初めまして。カメラマンの小林修士(@ShujiKobayashiP)です。普段は人物を主に撮影しています。ヒーコの方々とはだいぶ以前から仲良くさせていただいておりましたが、このように記事を書くのは今回が初めてです笑 よろしくお願いします。
1 NiSiフィルター × Nissin MG10
1.1 日中シンクロポートレート撮影でNiSi角型フィルターとNissin MG10を使う理由
2 今回使用する機材
2.1 NiSi角型フィルター
2.2 Nissin MG10
2.3 日中シンクロを自然に見せる
2.3.1 フィルター、ストロボ不使用
2.3.2 フィルター使用、ストロボ不使用
2.3.3 フィルター使用、ストロボ使用
2.4 NiSi ハーフグラデーションNDフィルターをポートレートで使うわけ
2.5 ロケ撮影に最適なNissin MG10
2.5.1 NDフィルターを使用することで可能になる撮影
2.6 背景をぼかして人物に自然な光を当てるには
2.6.1 ストロボの光をフィルライトに使う場合
2.6.2 ストロボの光をメインライトに使う場合
2.7 Nissin MG10 でスポット的に光を当てる
2.7.1 過酷な撮影に応えてくれるMG10のパワー
3 まとめ
3.0.1 今回使用した機材
3.1 NiSiフィルターはこちら
3.2 ニッシンジャパンはこちら
4 関連記事
4.1 SIGMAの超広角レンズで風景写真を撮るならNiSiフィルターはマストアイテム
NiSiフィルター × Nissin MG10
日中シンクロポートレート撮影でNiSi角型フィルターとNissin MG10を使う理由
今回はヒーコのスタッフからNiSiのND(ニュートラル デンシティ)フィルターを使ってポートレート撮影をしてみませんかとのいう依頼をいただきました。元々、2011年頃から撮影を続けているRe-flectionという作品でフィルターはよく使っているのですが、ソフトフォーカスやクロスフィルターなど、光を滲ませたり反射させて画面上にその効果を反映させるものが多く、NDフィルターは使用した事がありませんでした。NDフィルターというと風景写真などではよく使われていますが、ポートレートの撮影においてはあまり馴染みのないフィルターです。
どのような作品を撮るか色々考えた結果Nissinのグリップ型ストロボMG10も一緒にお借りして屋外で日中シンクロ撮影をする事にしました。日中シンクロというとストロボの光を自然光よりも強めに当てて背景の露出を落とすという感じのドラマチックなポートレートが多いのですが、今回はNDフィルターと組み合わせる事で日中シンクロでありながら自然な感じの写真を目指してみました。
というのは先日ある仕事で屋外撮影をしたのですが、その時に美しい夕日の空だったにも関わらず被写体の明るさを適正露出にしようとした結果、背景の色が飛んでしまうという事がありました。日中シンクロをするか考えたのですが、背景がボケた上に自然な感じで空の色が出て、なおかつ被写体へは綺麗に光が当たっている状態にするには時間と機材的に難しく断念しなければなりませんでした。そこで今回はモデルさんに手伝ってもらい、背景の河原をロケーションにその撮影で実現できなかった方法をテストしてみました。
今回使用する機材
NiSi角型フィルター
今回試したような日中シンクロで使う方法以外にも長時間露光など、NDフィルターを使う事で通常では得られないような効果でポートレート撮影をする事ができます。作例通りな使い方をするのも一つの方法ではありますが、敢えて違う使い方をする事で新たな表現を生み出す事も可能かもしれません。なかでも角形のフィルターを使うことのメリットについては後述致します。
Nissin MG10
公式サイトよりスペック表をお借りしました。やはりこの中で僕が注目するのは多くのプロに愛されたMG8000(現在生産終了)と同じクオーツ発光管を2つ採用することにより連続で発光してもオーバーヒートしにくく、撮影を続けることができる高耐久な所です。今回の撮影でも連写するシーンがありましたが、ストロボが止まる事はなく、撮影に集中できました。機材に信頼がおけるというはとても大事なことで、仕事で使う機材を選ぶ際において重要なポイントの一つです。
日中シンクロを自然に見せる
フィルター、ストロボ不使用
Sony α7RⅢ, F/2.5, 1/250s, ISO/100, 55mm
まず始めにNDフィルターもストロボも使わずに撮影した写真がこれです。 雲によって太陽の光が多少柔らかくなっていたので写りはさほど悪くはありませんが、全体的に多少フラットな印象があります。また背景の空も露出が少しオーバーな感じで色が浅い感じです。
フィルター使用、ストロボ不使用
Sony α7RⅢ, F/2.5, 1/250s, ISO/100, 55mm,NiSi 100mm Hard GND4 フィルター
次の写真はハーフグラデーションNDフィルターを入れた状態でストロボを発光させないで撮影したものです。1枚目の写真と比べると解ると思うのですがフィルターの効果が画面上からスカートの下あたりまでにかかった事により画面上部が暗くなっています。これにより空の色が出てきましたがモデルさんの顔や上半身の露出も暗くなってしまいました。ちなみに撮影の最中に雲が移動したので多少露出が変わっています。
フィルター使用、ストロボ使用
Sony α7RⅢ, F/2.5, 1/250s, ISO/100, 55mm, 100mm Hard GND4 フィルター, Nissin MG10
次にNissinのストロボMG10にソフトボックスをつけてカメラ左側斜め上から、人物の胸あたりを狙って光を当てます。ハーフグラデーションNDフィルターを使った事で人物の上半身に当たる太陽の光が弱まった訳ですが、ストロボを太陽と同じ位置から当てる事でこの露出不足を補うというのがアイデアです。ただしストロボの位置が斜め上からなので足元にかけて露出が暗くなってしまうのですが、ハーフグラデーションNDフィルターの効果で画面下部の露出は落ちていない為に露出のバランスが取れるという訳です。人物はストロボの光が当たった事で陰影が出きて立体感が増した上に、色味がはっきりと出てとても印象がよくなりました。
NiSi ハーフグラデーションNDフィルターをポートレートで使うわけ
この撮影ではNiSiの角型フィルター 100mmシステム ハーフグラデーション Nano HARD IR GND4(0.6)というフィルターを使いました。
これは幅100mm長さ150mmのガラス製で、その名前の通りNDの効果がグラデーションを描きながら変化します。NiSiではその変化の仕方が違うものが4種類(ソフト・ミディアム・ハード・リバース)あるのですが、今回はその中の「ハード」というグラデーションの変化の幅が短いものを使いました。
角型のフィルターはあまり馴染みがないかもしれませんが、今回使用したフィルターのようにその効果が変化するものの場合、NiSiの100mmシステム V5 Alpha ホルダーを使う事でフィルターを回転させて角度やスライドさせて効果のかかる部分を変えることができるようになります。これは丸型のNDフィルターではできないものです。
僕も作品撮影で使うのは角型のフィルターが多くなっていますが、自分の好みに合わせて効果のかかる位置を変えることができるのでとても重宝しています。基本的にフィルターをスロットに差し込むだけなので交換も早いですし、スロットの数も複数あるので違う種類のフィルターを数枚同時に使うことができます。また100mmシステム V5 Alpha ホルダーに同梱されているアダプターリングは82mmで口径がとても大きいので広角レンズを使用する際にも画面がケラれる心配がありません。
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